「災害治療学シンポジウム in 千葉 2024」を開催しました
令和6年12月11日
災害治療学研究所
令和6年11月23日(土・祝)に西千葉キャンパス けやき会館にて「災害治療学シンポジウムin千葉2024~激甚化する災害にそなえる地域社会づくり~」を開催しました。本シンポジウムは国立大学協会の支援のもと、「レジリエント社会・地域共創シンポジウム」の一環として採択された事業です。
第一部で「地域に根ざした防災活動~地方自治体と千葉大学との連携~」として、まず、本学と包括連携協定を結ぶ千葉市長より、①能登半島地震の復旧・復興支援として、災害派遣医療チーム(DMAT)や保健師をはじめとする多くの職員を派遣し、その経験及び知見を本市の災害対策に活かしていること、②大規模災害時においては、医療的ニーズが増大することが予想されることから、災害拠点病院、応援協定を締結した関係機関、千葉県等と連携しながら様々な医療対策を実施していることが報告され、災害などのリスクに対応し、安全・安心に暮らすことのできるまちの実現に向けた千葉市の災害医療の取り組みが紹介された。また、本学の若手人的資源を活用した防災面での連携活動として、医療分野での専門的知識・技術を持った本学医学部生を中心とした機能別団員チームの設立について報告があった。この機能別団員チームは、「大規模災害団員」として大地震などの大規模災害発生時に特化して、その知識・技術を生かし、応急救護活動等を行うとされ、今後の活動に期待が寄せられた。第一部の最後に本機能別団員チームで医学部救急サークルの代表より活動報告がなされ、災害時のトリアージ及び心肺蘇生のデモンストレーションが行われ、多くの参加者より今後の活動について期待が寄せられた。
次に、能登半島の地形に類似し、房総半島の南端に位置する館山市長より、本年度、本学と締結した「防災に係る連携と協力に関する協定」について報告があった。その取り組みの一環として、内閣府主催の大規模地震時医療活動訓練に合わせて、首都直下地震により電柱の倒壊や光ケーブルの切断によって停電や地上系通信の途絶が多発したことを想定し、衛星通信機能を備えた電力自給型の診療コンテナとトレーラーハウスを使用して、本学大学病院と連携した医療活動の実証実験を実施したことについて振り返り、今後の展開や将来構想について意見交換を行った。この取り組みが、災害医療の更なる発展の第一歩となり、産官学の連携により、地域防災力の向上が図られ、災害時に一人でも多くの命が救われることが期待された。
第二部では、「日本の災害を考える~千葉大学の産学官民連携の取り組み~」として、まず企業における防災部門の設立とその取り組みとして、平時でも利用可能なオフグリッドトレーラーハウス型の診療所の設置等について紹介がなされた。被災した現場に短時間で移動型簡易診療所の開設が可能となり今後の活用等が期待された。
次に、産学官連携の取り組みとして、南海トラフ地震による津波被害が想定される、津波頻発地域における「避難要支援者」に対する支援の枠組みの脆弱性についての研究活動報告がなされ、静岡県伊豆市をモデルケースとしての現状と課題が明らかにされた。今後目指すべき津波避難対策の方向性、そのための取り組む研究活動に期待が寄せられた。
また、災害発生時の情報不足が災害医療活動や迅速な災害応急対応活動を阻害していることは明らかで、それらの災害進行時の災害観測情報等を提供するプラットフォームの実現と災害救急医療への社会実証の重要性が講演され、その実現に向けて期待が寄せられた。
今回の災害治療学シンポジウムの動画はこちら(千葉大学公式YouTube)からご視聴いただけます。
また、過去のシンポジウムの動画は以下のリンクからご視聴いただけます。
・2023年
・2022年
・2021年
・2020年(午前の部/午後の部)
千葉市 神谷 俊一 市長による講演
牧 慎太郎 特任教授 及び 館山市 森 正一 市長による講演
C-TAT 橋本 俊亮 代表による講演
大島 拓 准教授による講演
KTX株式会社 野田 太一 代表取締役社長による講演
ヨサファット テトォコ スリ スマンティヨ 教授による講演
秋田 典子 教授による講演
DMAT隊展示 C-TATのデモの様子