千葉大学災害治療学研究所

概要

概要

所長からのご挨拶

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令和3年10月に発足致しました千葉大学災害治療学研究所の所長を拝命いたしました。当研究所は、自然災害及び新興感染症による激甚災害やパンデミックが生じた際にも、人々の健康を守ることができる災害レジリエントな社会作りを目指しております。

災害の恐ろしさは、災害自体による直接的な人的被害や社会インフラ破綻に留まらず、災害後に長期にしかも複雑に進行する多様な人々の健康障害と社会のダメージにもあります。2011年の東日本大震災からすでに10年が経ちましたが、特に福島では福島第一原発事故後、多くの人々が長期の避難生活を余儀なくされ、未だに震災前の生活に戻ることができない方々もおられ、生活環境の変化やストレスに起因すると考えられる深刻な健康被害が続いております。一方そう遠くない将来に、首都圏直下型の大地震が発生することが予想されており、その際には東日本大震災と比較して、より大きな人的被害と、より長期・大規模・複雑な二次的健康被害が懸念されており、今の福島の問題は決して対岸の火事ではありません。

自然災害をなくすことはできません。しかしながら、一次被害を小さくする防災・減災の取り組みは非常に重要です。そして、災害後長期に渡る健康被害を阻止するための平時の備えも忘れてはならず、適切な対策により災害後の二次的健康被害を最小化することも可能です。しかしながら、災害後の二次的健康被害については、その複雑性と解析に必要な情報の不足などから、機序の解明が進まず、画期的な解決策を打ち出せずにいるのが現状です。

さらに2020年度からは新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るっており、現在も終息が見えず自然災害との複合災害という新たな脅威も懸念される様になりました。

これらの状況を背景に、千葉大学では災害治療学研究所を発足させ、多くの部局から多彩なバックグラウンドを有する研究者が集まり、学際的研究の推進と、産学官が連動した共創的な研究開発と社会実装を目指すことになりました。激甚災害の後でも、健康で豊かな生活を享受できる様、一丸となって研究を進めて参る所存ですので、皆様のご理解、ご協力、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

令和5年4月
千葉大学災害治療学研究所長
田中 知明

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